Vol.7 HySerpackにはリリーフ弁がない

 通常の油圧装置には、図1のようにリリーフ弁が取り付けられております。リリーフ弁がないと方向制御弁を閉じた時、又はシリンダに過大な負荷が加わった時は圧油の逃げ場がなくなり、油圧ポンプ又は配管が破損してしまう程圧力が上昇してしまいます。
 リリーフ弁は設定圧以上になると圧油をオイルタンクへ戻してやる、言い換えると安全弁として使われております。
 油圧シリンダが仕事をしてない時は高圧の圧油をタンクへ戻すため、圧油に蓄積された巨大なエネルギーが全て熱エネルギーに変換されタンク内の作動油の温度を急速に上昇させてしまいます。
 又リリーフ弁の定格圧力を100%とすると0〜100%迄の全領域を自由に圧力設定出来るものはプリミティブな形式のものを除いて殆どなく、一度手動で設定した後は固定されてしまい、外部から自由にコントロール出来るものは殆どありません。
 HySerpackは図2のように電動機、油圧ポンプ、短い配管、シリンダだけで構成され、電動機のトルク制御によりポンプの吐出圧を自由に設定すると共にサージ圧も吸収出来るようになっているためリリーフ弁を使う必要はなくなりました。

Hyserpackにはリリーフ弁がない1

Hyserpackにはリリーフ弁がない2


Vol.8 HySerpackはスティックスリップが発生しない

 HySerpackには方向制御弁、圧力制御弁、流量制御弁、サーボ弁等のエネルギー損失要素は全く使用されておりません。代わりにポンプの吐出方向、吐出流量、吐出圧力を自由に制御し、アクチュエータを動かしております。
 このようにすることによって次に説明するような利点が生まれました。油圧ポンプの吸入量Qiと吐出量QoはQi=Qoの関係にあります。従って図のようにQoが両ロッドシリンダのAポートに流入し負荷が右へ動き出します。次にサーボモータを停止させるとポンプも同時に停止しますが負荷は慣性エネルギーのためなかなか停止しません。しかしポンプが停止しているため、Qi=0となりBポート側シリンダ室の内圧が急上昇しブレーキとなり負荷は急停止します。
 このようにポンプ自体がブレーキ機能を持っているためメータイン、メータアウトが必要なくなりました。このブレーキ機能が非常に高いのでついでにスティックスリップまで無くなってしまったということです。
 従ってHySerpackは低速領域でも非常に滑らかな動作となります。

Hyserpackはスティックスリップが発生しない





Copyright (C) 2005 Daiichi Denki Corporation. All Rights Reserved.